永続する企業の条件
フレッド・デュビーは、国連グローバル・コンパクトのアドバイザーとして、世界中の企業を訪問したことがある人物です。あるとき、「成功している企業と失敗した企業の主な違いは何ですか?」とたずねられて、こう答えました。
「それは一言で言えます。敬意です。成功している企業は、従業員、顧客、取引先、地域社会、そして自然環境に敬意を払っています。リスペクトして行動しています。従業員を安い給料で働かせたり、お客さんにウソをついたり、取引先に厳しい条件を押しつけたり、コミュニティや地球環境への影響を無視するような企業は、成功することはありません」
「そんな企業でも、しばらくの間は利益を上げられるかもしれませんが、数字上だけのことで、長くは続きません。なぜなら、誰からも忠誠心を持ってもらえないからです。会社が存続するためには、従業員には会社のためにしっかり働こう、顧客にはこの会社の物を買おう、取引先にはこの会社に協力しようという忠誠心を持ってもらう必要があります。ロイヤルテイを持ってもらえない会社が長続きすることはありません」
国連グローバル・コンパクト(United Nations Global Compact)
1999年に国連が世界の企業に求めた行動原則。人権・労働権・環境・腐敗防止に関する10原則の実践を要請している。「compact」には「協定」とか「同意」という意味があります。
[原則1]国際的に宣言されている人権の擁護を支持し尊重する
[原則2]人権侵害に加担しない
[原則3]組合結成の自由と団体交渉の権利を保証する
[原則4]あらゆる強制労働をやめる
[原則5]児童労働を廃止する
[原則6]雇用と職業に関する差別を撤廃する
[原則7]環境問題に対して予防的な対応をする
[原則8]環境に関していっそうの責任を担う
[原則9]環境にやさしい技術の開発と普及を促進する
[原則10]強要や賄賂(わいろ)を含むあらゆる形態の腐敗を防止する