ネルソン・マンデラの朝食の招待客
1998年、南アフリカのネルソン・マンデラ大統領は、英国石油の南アフリカ本社の社長を自宅の朝食に招きました。
社長が到着すると、マンデラは玄関先で出迎え、「一人で来たのですか?」とたずねました。社長は「ええ、そうです」と答えました。マンデラは、「運転手さんが一緒では?」とたずねました。社長は「運転手なら、外に停めたクルマで待たせています」と言いました。
マンデラは社長に、運転手も連れてきてくださいと頼みました。マンデラは3人分の朝食を用意していたのです。
マンデラは、運転手も、大企業の社長や大統領と何の違いもない同じ人間で、敬意をもって扱われなくてはならないと考えていたのです。
このちょっとした出来事は、英国石油の南アフリカ社長に深い感銘を与え、これがきっかけで彼はマンデラと親友になりました。マンデラが後に、恵まれない子どものための財団を設立したとき、その社長はまっさきに多額の援助をしてその活動を支えたのでした。
Illustration©Momo Mitachi