文明は協力から生まれる

人類最初の高度な文明は、いまからおよそ6000年前、ナイル川、ユーフラテス川、インダス川、そして黄河の流域で誕生しました。農民が一人では解決できない問題に直面し、力を合わせて取り組まなくてはならなくなったからです。

くりかえし発生する洪水と干ばつの被害を防ぐために、川の水があふれ出ないようにするための堤防やダムを建設する必要があり、みんなで力を合わせなくてはならなくなりました。その必要から、国が形成され、文字が工夫され、法律が整えられ、科学や芸術が花開き、文明が発展したのです。

いま、私たち人類は、核兵器の拡散や世界的気候変動など、どんな国も単独では解決できない深刻な問題に直面しています。手遅れになる前に、国を超えて協力することが必要です。

それなのに、多くの国の政府は、国家の主権が制約されることを心配して、国際的な取り決めに加わることに消極的です。それは大きな間違いです。

今日、気候変動にしても、海洋プラスチック問題にしても、一国で解決できる国はありません。CO2（二酸化炭素）排出量の国際ルールに従うことは、国の力を弱めることではありません。世界的な協力の枠組みに参加することによって、どの国も一国のレベルを超える権限をもち、自分の国だけでは絶対にできなかった成果を達成することができるのです。