PEACE STORIES

いまジャーナリストに求められること

「平和学の父」として知られるヨハン・ガルトゥングは、「ピース・ジャーナリズムが必要だ」と繰り返し主張しています。

「ピース・ジャーナリズムとは何ですか?」とたずねられて、ガルトゥングは、通常の戦争報道では爆弾の数や死者の数が報じられるが、そうした事実に加えて、次の2つのことを問うのがピース・ジャーナリズムである、と答えました。

「対立の理由は何か」
「解決のためにできることは何か」

もしブッシュ大統領が「なぜイラクと対立するのか?」とたずねられたら、彼はたぶん「これは善と悪の闘いだ」と答えるでしょう。
「それはどういうことですか? 詳しく説明してください」
「これ以上話すことはない」
「解決策はあるのですか?」
「悪を叩き潰すしかない」
「それはどういうことですか? 詳しく説明してください」
「これ以上話すことはない」

ブッシュ大統領がこんなふうに20回もたずねられ、そのたびに発言が記事になれば、いつまでも無責任なコメントで言い逃れすることはできなくなるでしょう。ブッシュの発言はもっと記事にされてしかるべきなのです。

18世紀には、「疾病ジャーナリト」とでも呼べる記者たちがいて、伝染病の広がりや患者の状態について詳しく報道しました。しかし、治療法がなかったので、それについてはほとんど報じることができませんでした。でも、いまでは「健康ジャーナリスト」がいて、さまざまな病気についての研究成果や治療法、予防に役立つ健康的なライフスタイルなどについて、多くの情報を発信しています。

いま、平和のための「ピース・ジャーナリスト」の出番がやってきました。ただ戦争の状況を報じるのではなく、戦争の原因、解決策や予防策、平和を再構築する方法を報じるジャーナリズムが求められているし、それが可能な状況が生まれているのです。

イラスト

健康ジャーナリストは、自らの手で病気の治療法を発見する必要はありませんでした。専門家を取材して記事にするのが彼らの仕事です。それと同じで、ピース・ジャーナリスト自身が戦争を終わらせるわけではありません。平和団体や紛争調停者の活動を取材して、戦争終結に向けた取り組みや、紛争防止のための施策を取材し、それを報告するのが平和のためのジャーナリストなのです。

健康に関する情報は人びとの関心が高く、新聞でも大きなスペースが割かれています。平和のための情報や提言も、多くのことが報じられるようになれば、人びとの関心をもっと集めることができるでしょう。だれもが平和を願っているのですから。もっと要求しましょう――平和のために紙面を!

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