PEACE STORIES

2つの命令しかわからない馬を買った男の話

男が牧師から1頭の馬を買いました。牧師は男に、「この馬は2つの命令しか聞きわけることができません。『ハレルヤ』と言うと前に進み、『アーメン』と言うと止まります。この2つの言葉以外は何を言ってもわからないので、乗るときは十分に気をつけてくださいよ」と言いました。

イラスト

翌週、男はその馬に乗り、町を離れて野山へ走りに行きました。馬は登り坂も苦にするこことなく快調に走り、どんどん山の中へ入っていきました。男はすっかりいい気持ちになっていましたが、ふと気づくと、なんと、目の前に断崖絶壁が迫っていました! その先は深い谷底です。

男は手綱を引いて馬を止めようとしましたが、走るのが気持ちよすぎるのか、馬は止まろうとしません。何と命令したら馬が止まってくれるのか、男は牧師から聞いた言葉を必死に思い出そうとしました。でも、どうしても思い出せません。

何か聖書と関係がある言葉だったことは覚えていたので、「聖書!」と言ってみましたが、馬は止まりませんでした。
「神さま!」と叫んでも、馬は崖に向かって走り続けます。
「イエスさま!」も試してみましたが、ますます勢いよく走るだけでした。
「マリアさま!」とも叫びましたが、効き目はありませんでした。

絶体絶命と覚悟した男は、ひとこと短く死ぬ間際の祈りをささげ、「アーメン」と言いました。すると馬は、谷底に転落する一歩手前で急停止したのでした。命びろいした男は、うれしさのあまり大声で叫びました。

「ハレルヤ!」

重要なことについて説明を受けたら、しっかり注意を払いましょう。それがこの話の教訓です。

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