PEACE STORIES

バーリントンの23人

むかし、アメリカはベトナムと激しい戦争をしていたことがあります。これはそのときに、本当にあった話です。

バーモント州のバーリントンという街の市民グループが、ベトナム戦争が法律に違反していないかを問う公聴会を開いてほしいと、州選出の議員に求め続けましたが、どうしても聞き入れてもらえませんでした。

ついに23人の市民が、議員のオフィスに座り込んで抗議を行いました。議員は警察を呼び、座り込みをした人たちは逮捕されてしまいました。

リチャード・フォークという国際法の学者がいました。プリンストン大学で学生に教えながら研究論文を書いていた学者で、それまで法廷に立つことはほとんどありませんでした。でも、23人が不法侵入の罪で起訴されたとき、その弁護を買って出ました。

フォークは陪審員にこう訴えました。

「誰かが窓を割って家の中に押し入り、お金や物を奪ったら、法律に従って罰さなくてはなりません。しかし、家が燃えていて、そして中から赤ちゃんの泣き声が聞こえてきたら、窓を割って中に入り、赤ちゃんを助けるべきです。そうしたからといって住居侵入罪で罰せられるべきではありません。この23人の市民は、何かを奪うために議員のオフィスに押し入ったのではありません。彼らは国際法に従って、ベトナムで暮らしている人々の命を救うために――男の人、女の人、そして子どもたちの命を救うために――そしてわが国の若い兵士が戦場で死ぬのを防ぐために、座り込みを行ったのです」

陪審員はこの主張を受け入れ、全員一致で無罪の評決を下しました。

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